1985年ソウル生まれ、19歳で来日して以来、Oggi、BAILA、Marisolなど主要ファッション誌の表紙を飾り続けてきたヨンア。COEL、narin.という二つのブランドを率い、ひとりの母として、40歳を迎えた今も第一線で活動する。美しさを長く保つために、彼女が眠れない夜とどう付き合ってきたのかを辿る。
美しさを支える、眠れない夜との付き合い方
モデル ヨンアが続けてきた、整えと無理をしない選択

1985年ソウル生まれ、19歳で来日して以来、Oggi、BAILA、Marisolなど主要ファッション誌の表紙を飾り続けてきたヨンア。COEL、narin.という二つのブランドを率い、ひとりの母として、40歳を迎えた今も第一線で活動する。美しさは努力だけでは語りきれない。睡眠と夜への、丁寧な向き合いを必要とする。眠れない夜と、彼女がどう付き合ってきたのかを辿る。
19歳で来日して以来のキャリア
ヨンアが日本で最初に表紙を飾ったとき、彼女はまだ20歳になる前だった。それから20年あまり、表紙の数も雑誌名も増え続け、彼女はいつしか日本のファッション誌における「定番」のひとつになった。トップモデルが20年第一線にいる、という事実は、それ自体が一つの異例である。短いサイクルで顔が入れ替わる業界の中で、長く居続けるためには、何かを意識的に選び続けなければならない。彼女が選んだのは「無理をしない」という、極めて地味な姿勢だった。
無理をしないとは、努力を惜しむことではない。むしろ逆だ。長く走り続けるために、短期の成果を犠牲にしてでも、自分の身体と心を最優先する選択を続けるということ。撮影が立て込めば睡眠を削る、というのは多くのモデルが直面する現実だが、ヨンアは「7時間睡眠を守る」という線を引いている。スケジュールを睡眠から逆算で組む。これが彼女の長く美しい理由の、最も表面的でかつ最も核心的な答えだ。
ヨンアプロフィール 1985年ソウル生まれ。19歳で来日し、Oggi、BAILA、Marisolなど主要ファッション誌の表紙を飾る。2018年COEL、2021年narin.の2ブランドを設立。2016年に第一子を授かり、現在は母、モデル、ブランドディレクターとして並走する活動を続ける。
母であり、ディレクターであり、モデルであり
2016年に第一子を授かってから、ヨンアの生活は一変した。撮影、育児、ブランド経営。三つの軸が同時に走る日常では、夜は仕事の続きでもあり、子どもと過ごす時間でもあり、自分を取り戻す時間でもある。役割が複層化するほど、夜の使い方は重要になる。
彼女が選んだのは「役割を切り替える儀式を持つ」という方法だった。撮影から帰宅した後、いったんシャワーを浴び、メイクを落とし、部屋の照明を一段落とす。たったそれだけで、モデルから母への切り替えがスムーズに進む。逆に、夜の遅い時間に再びパソコンを開いてブランドの発信を準備する時は、髪を結び直し、軽くストレッチをしてから机に向かう。儀式は短いが、心のスイッチを切り替える効果は大きい。
無理しない、を選び続けること。それが10年後の自分を最も整える。
— 本人発言の主旨を編集部要約 / Marisol インタビュー
撮影前夜の眠れなさ
表紙撮影の前夜、ヨンアは眠れない夜があると素直に語る。仕事歴は20年を超えても、その夜の緊張は完全には消えない。新作のコレクション撮影、海外でのキャンペーン、若い世代との共演。すべての撮影に、その撮影固有の緊張がある。だが、彼女はその緊張を否定しない。緊張があるからこそ、翌朝の現場で集中の質が上がる。眠れない夜は、明日への準備の延長として受容されている。
40歳の境地と向き合い方
| 20代 | 30代 | 40代 |
|---|---|---|
| 勢いで乗り切る | 計画で動く | 選び抜いて動く |
| 睡眠を削る | 睡眠を守る | 睡眠を起点にする |
| 多くを引き受ける | 取捨を始める | 断る勇気を持つ |
| 外側を整える | 内側に投資する | 関係性を整える |
| 未来が遠い | 未来が近い | いまが未来 |
このテーブルはヨンア本人の言葉そのままではなく、彼女の20年のキャリアを編集部が独自に整理したものだ。20代は勢い、30代は計画、40代は選び抜き。年齢ごとに重心が動いていく様子は、多くの人にとって既視感のある軌跡だろう。彼女が40代をオープンカーで走りたいと語るのは、年齢を制約ではなく自由として迎える姿勢の表現でもある。
アジアの美意識と睡眠の関係
韓国と日本、二つの東アジア文化を行き来して育った彼女の美意識は、両国の特徴を取り入れたハイブリッドだ。韓国流の徹底した保湿とインナーケア、日本流の繊細な質感の重視。共通するのは「外側だけでは美しさは作れない」という認識である。睡眠はその両方を支える土台であり、夜のスキンケアと睡眠は、別々の習慣ではなく一つの儀式として機能する。
夜のセルフケア・3つの軸
- 環境 — 寝室の光・湿度・温度を季節ごとに調整する
- 身体 — 軽いストレッチと保湿を欠かさない
- 心 — 翌日の予定を簡潔にメモして手放す
ブランドディレクターとしての夜
COEL、narin.という二つのブランドのディレクションは、撮影とは異なる種類の集中を必要とする。素材選び、価格設計、店舗設計、SNS発信。一つひとつの決定が、ブランドの世界観に影響する。撮影の夜が「明日の現場のための夜」だとすれば、ブランドの夜は「来季のための夜」だ。視野の長さが違う。
ヨンアは、ブランドの夜には別のリズムを持ち込む。子どもが眠った後の30分から1時間、机に向かう時間を週に数日確保する。長時間ではなく短時間を高密度に。睡眠を削ってまで深掘りはしない。「翌朝の自分」を大事にする原則は、撮影でもブランドでも変わらない。
よくある質問
Q. 撮影前夜は眠れますか?
A. 完全には眠れない夜もある。だが、寝室の環境を整えておくことで、せめて休めることはできる。眠れなくても焦らない、という構えが彼女の流儀だ。
Q. 子どもとの夜の付き合い方は?
A. 疲れた日は家事をすべて諦め、息子と早めにベッドに入る。完璧な母親像を追わない、という選択そのものが、長く走り続けるための知恵である。
Q. 40代に向けての心構えは?
A. 「オープンカーで走りたい」と本人は語る。年齢を制約ではなく自由として迎える、という姿勢が言葉の根底にある。
スキンケア × 睡眠の関係 夜のスキンケアと睡眠は別々の習慣ではない。化粧水を肌になじませる手の動き、深い呼吸、就寝前の照明の落とし方。これらは一連の入眠儀式として機能する。スキンケアの質を上げる最短経路が、実は睡眠の質を上げる経路と重なっているのは、偶然ではない。


美しさを長く保つ秘訣は、特別なことではない。眠れる夜のために環境を整え、眠れない夜は責めない。明日を楽しみに迎えるための、小さな選択を毎日重ねていくこと。ヨンアの歩みが示すのは、20年第一線にいるための答えが、過剰な努力でも特別な才能でもなく、無理をしないという地味な選択を選び続ける覚悟だという事実である。今夜あなたが選ぶ小さな所作が、十年後のあなたの輝きを作っている。眠れない夜があっても、それは決して敗北ではない。むしろ、明日の自分を整える、最後の余白なのである。